ここ数年、日本国内の宿泊料金は大きく様変わりしました。背景にあるのは、構造的円安とインバウンド需要の急増です。東京や大阪といった都市部では、ビジネスホテルでさえ1泊1万5,000円〜2万円が当たり前になり、観光地や繁忙期にはさらに跳ね上がることも珍しくありません。
かつて「安くて便利」が売りだったビジネスホテルも、今や訪日外国人観光客の旺盛な需要を背景に価格を強気に設定。観光庁の統計では、全国平均のホテル1泊料金は約1万9,000円、東京では2万6,000円を超える水準に達しています。地方でも、観光資源の豊富なエリアでは同様の傾向が見られます。
カプセルホテルは相対的な“避難先”
そんな中、相対的に価格を抑えているのがカプセルホテルです。通常時は1泊2,000〜5,000円台と手頃で、個人旅行や出張の節約派には魅力的な選択肢です。特に都市部では、観光とビジネスの両方をターゲットにした新型カプセルホテルが増え、内装デザインや設備面で従来の「寝るだけ」イメージを刷新しています。
ただし、ここにも注意点があります。ゴールデンウィークや大型イベントなどの繁忙期には、需要の集中で1万円を超える料金になるケースも。中には2万円近くまで跳ね上がった例もあり、「カプセル=いつでも安い」とは言えなくなりつつあります。
価格高騰の背景
- 構造的円安
円ベースで海外から見れば、日本の宿泊は割安。その結果、訪日観光客の需要が加速。
- 供給不足
コロナ禍で閉業した宿泊施設や人員不足の影響で、客室供給が追いつかない。
- 旅行者層の変化
富裕層インバウンドやラグジュアリー志向の国内客が増加し、高価格帯のホテルが市場をけん引。
旅行者へのアドバイス
- 早めの予約
特に都市部・観光地は直前予約だと価格が跳ね上がる傾向が顕著です。
- 宿泊地を1駅ずらす
中心地から少し離れるだけで価格が下がるケースが多い。
- カプセルホテルやゲストハウスの活用
節約しつつ快適に過ごせる新タイプ施設も増えています。
- キャンペーン利用
自治体や旅行会社の割引プランは随時チェックを。
今後の展望
訪日外国人客の増加は続く見込みで、特に円安が続けばホテル料金の高止まりは避けられません。一方で、地方やオフシーズンを狙えば、まだ手頃な価格で泊まれる余地はあります。宿泊の選択肢が多様化する中、「どこに・いつ泊まるか」を戦略的に考えることが、これからの旅行上手の条件になりそうです。